日本語ディベートで国際交流2016 in 交通大学

  • 2016年2月26日(木)~29日(日)
  • 場所:台湾国立交通大学
  • コース:初級「交通大学は学内での酒類販売を解禁すべきである。是か非か。」中級「台湾は首都機能を分散すべきである。是か非か。」

今回のディベートキャンプは、昨年に引き続き、全国教室ディベート連盟(NADE)より佐藤明大先生(初級コース担当)と後藤久里子先生(中級コース担当)を講師に迎え開催された。台湾からは交通大学や新竹教育大学から、日本からはQDCメンバーのほかに日本大学、東京大学、上智大学、慶應義塾大学からの学生が参加した。

初日は、アイスブレーキングを行ったのち、佐藤先生から競技ディベートのルール説明がありリンクマップを用いてのメリット・デメリットのブレーンストーミングを行った。リンクマップは、どのチームも30項目以上を書き出すことができ、メリット・デメリットを決定する際に非常に役立った。2日目は、主に立論の作成及び質疑・反駁の準備を行った。初日に作成したリンクマップをもとに立論を作成したが、日本語があまり話すことができなかったりディベートのルールをよく理解できてなかったりしている学生のフォローをしながらの作業ということもあり、多少学生間の意思疎通が困難なグループもあった。しかし、台湾の学生が通訳してくれたり、英語で会話したりすることでディスカッションや説明を行うことができた。最終日は、各チーム2回ずつ試合を行い、日本の学生は1試合ジャッジを行った。

ジャッジミーティングの際に佐藤先生と後藤先生もおっしゃっていたが、今回のディベートキャンプでの練習試合の目的は「練習試合後、台湾の学生がディベートを楽しいと感じこのディベートキャンプを通してさらに日本語を学ぼうと思ってもらうこと」である。この目的について、私のグループをはじめすべてのグループですべての目的を達成できたかどうかはわからないが、試合中困ってどうすればよいかわからなくなってしまった学生にすぐに日本人学生がフォローに入っていたことや途中で諦めたり投げ出したりする学生がいなかったことなどを見ても、方針に沿って活動ができていたと言えるだろう。

今回のディベートキャンプでの反省点は、台湾の学生との交流である。しかし、交流ができていなかったというわけではない。しかし、交流が偏っていたように見受けられる部分があった。例えば、今回のディベートキャンプの最後に日本の学生と台湾の学生がパートナーになってコントを行う中国語コンテストが行われたのだが、日本の学生はその時のパートナーやディベートで同じチームになった人とは多く交流していたが、そのほかの学生とは交流できていないこともあった。特に、日本語があまり得意でない学生に対しては、日本の学生は中国語が話せないということもあり十分に交流が行えていなかったように思われた。台湾の学生と交流したときに知ったことであるが、台湾の学生は実際に日本人と長い時間交流する機会はほとんどないため、このディベートキャンプを待ち望みそして交流を通して多くの日本語の知識や日本のことを知ろうとしていた。台湾の学生が外国語である日本語で行われるこのディベートキャンプになぜ参加するのかを考えれば、日本語について学ぶために参加しているというのは言うまでもない。しかし、日本語を学びたての学生が日本の学生に自分から話しかけるのは勇気がいることであるし、もし通じなかったらどうしようという不安もあるに違いない。そのような中でより多くの学生と交流するには、日本の学生にある程度の中国語ないし英語が話せる力が必要である。日本語ディベートでの交流とはいえ、日本人が母国語の日本語だけを話せばよいというわけではないだろう。日本の学生から積極的に話しかけ多くの台湾の学生と交流をするためにも、日本の学生もある程度の中国語あるいは英語の知識をつけていく必要がある。台湾の学生にとって満足いくディベートキャンプにするには、このことが重要になってくると感じた。

しかし、総じて今回のディベートキャンプは非常によいものとなった。ディベートをするときは皆が真剣に取り組み、食事や観光をするときは皆楽しむことができた有意義な4日間だった。次回の夏講座以降の国際交流も、今回の反省を踏まえよりよいものにしていきたい。

QDC(九州大学ディベートクラブ)所属 文学部1回生 小野敏幸