APA, Harvard 形式での参考文献リスト作成
読む前に
この文書は、九州大学基幹教育言語文化科目 「学術英語1・リーディング・リスニングA」の授業の補足記事として 作成してあります。
したがって、参考文献リスト作成にあたっての全ての情報が 掲載されているものではありませんので、 あしからずご了承のうえ、読み進めてください。
文献の種類
世界には様々なコンテンツが文字、音声、画像、映像を問わず存在していますが、 論文においては、文字で書かれた学術文書を引用元として 使用される場合がほとんどです。
学術文書には、
- 書籍
- 論文
- 辞書
- 辞典
- 総説、等々
いろいろな形式のものがあります。 それぞれの説明は、ここでは割愛しますが、 どのような学術文書であっても、引用した場合は、 その文書の情報を、参考文献リストに 決められたかたちでリストアップする必要があります。
参考文献リストは、原則的に文書の一番最後に掲載されます。
なお、参考文献リストに掲載されている文書の情報を 書誌情報と呼びます。 (授業でこの用語を言えば良かったのですが、あいにく失念していました、すみません)。
課題の内容とその解説
課題の内容
昨日(2017年7月13日)の授業では、5つの学術文書(A〜E)の中で 書誌情報が書かれた箇所のコピーを配布し、 それぞれの文献の情報をAPA方式とHarvard方式で 記載する課題をおこないました。
記載する際に、それぞれの方式で参考にするファイルを 皆さんに配布しました。
参考文献リストの作成
まず、学術文書がそれぞれどのようなタイプの文献であるかを確認します。
- 文献A: 論文集 (Article/chapter in edited book)
- 文献B: 単著の書籍 (Book, single author)
- 文献C: 単著の書籍 (Book, single author)
- 文献D: 共著の書籍 (Book, two authors)
- 文献E: 共著の雑誌論文 (Journal article/proceedings, two authors)
それぞれの文書でかならず必要なのは、
- 著者名
- 出版年
- 文書(論文・書籍)のタイトル
です。 まずはこの3項目に「基本項目」という名前をつけておきましょう。
書誌情報を記載するとき、この基本項目に加えて、 文書のタイプごとに求められる情報をさらに加える必要があります。
論文集の書誌情報
論文集の場合、基本項目に加えて、少なくとも
- 編者名
- (論文ではなく)論文集のタイトル
- 出版社
- 出版地
- 論文が掲載されているページ範囲
の情報を記載する必要があります。
それでは、文献Aの書誌情報をAPA方式で記載します。
- Kuiper, K. (2004). Formulaic performance in conventionalised varieties of speech. In N. Schmitt (Ed.), Formulaic sequences: Acquisition, processing, and use (Vol. 9) (pp.37-54). Amsterdam/Philadelphia, PA: John Benjamins Publishing.
論文の著者名では、名字が先に記載されていますが、編者名は名字が後に記載されて いたり、論文集タイトルを示すために In が挿入されていたり、細かいルールが あったりします。
次に、同じ文献AをHarvard方式で記載します。
- Kuiper, K., 2004. Formulaic performance in conventionalised varieties of speech. in N. Schmitt (ed.), Formulaic sequences: Acquisition, processing and use, pp.37-54. John Benjamins Publishing, Amsterdam/Philadelphia, PA.
Harvard 方式は、ed や in などが小文字表記されている点など、 APAよりも表記が簡略化されています。
なお、出版社の場所については、番地を厳密に記入するのではなく、 市(日本では都道府県)までの範囲を記述するようにしてください。
また、ここでは、1つの出版社が2箇所にある場合(例: ロンドンとニューヨーク) それぞれの都市名をスラッシュで区切った表示としています。
書籍の書誌情報
書籍の場合は、基本項目に加えて,少なくとも
- 出版社
- 出版地
の情報を記載する必要があります。
文献B〜Dは、単著・共著の違いはあるものの書籍に分類されるので、 これらの文献の書誌情報を一気に記載していきます。
まずはAPA方式から。
- Schügerl, K. (1991). Bioreaction engineering, characteristic features of bioreactors, vol. 2. Chichester/New York: John Wiley & Sons.
- Lindberg, D. C. (2010). The beginnings of Western science: The European scientific tradition in philosophical, religious, and institutional context, prehistory to AD 1450. Chicago/London: University of Chicago Press.
- Lightbown, P. M. and Spada, N. (1999). How languages are learned (2nd ed.). Oxford: Oxford University Press.
次に、Harvard方式で記載します。
- Schügerl, K., 1991. Bioreaction engineering, vol. 2: characteristic features of bioreactors. Wiley & Sons, Chichester/New York.
- Lindberg, D.C., 2010. The beginnings of Western science: The European scientific tradition in philosophical, religious, and institutional context, prehistory to AD 1450. University of Chicago Press, Chicago/London.
- Lightbown, P.M. and Spada, N. 1999. How languages are learned (Vol. 2). Oxford: Oxford University Press.
論文の書誌情報
論文の場合は、書籍と違い、出版社や出版地を記入することはあまりなく、 発行した学会名や雑誌名を記載するパターンが多いです。
具体的には、基本項目に加えて、少なくとも
- 雑誌名・学会名
- 巻号(雑誌論文の場合)
- ページ範囲
の情報を記載する必要があります。
文献Eは、共著の論文で、1ページ目の下部に 文献が掲載された学会の年次大会の情報が記載されており、 開催された年がそこに記述されています。
この場合、学会の開催年が、実質的に巻号としての機能を持つので、 巻号は定められていません。
では、この論文の書誌情報をAPA方式で記入します。
- Salehi, B., Cook, P., and Baldwin, T. (2015). A word embedding approach to predicting the compositionality of multiword expressions. Human Language Technologies: The 2015 Annual Conference of the North American Chapter of the ACL, 977-983.
次に、Harvard方式で記載します。
- Salehi, B., Cook, P. and Baldwin, T., 2015. ‘A word embedding approach to predicting the compositionality of multiword expressions’. Human Language Technologies: The 2015 Annual Conference of the North American Chapter of the ACL, 977-983.
書籍の場合は、書籍の名前がイタリック体になっていますが、 論文の場合は、いずれも雑誌名がイタリック体となります。
便利なツール
なお、いろいろなツール(BibTeX, RefWorks, 等)が書誌情報作成の助けとなりますが、 ここでは1つだけ紹介しておこうと思います。
- Google Scholar: Google が提供する 論文の検索エンジン。検索と同時に、各スタイルのに合わせた 参考文献リストが作成される。
検索結果に表示された文献の右下に、小さく “Cite” と書かれた箇所があり、 それをクリックすると、書誌情報を特定のスタイルに変換したものが表示されます。
ただし、これはあくまでも自動的に生成されたものであり、 チェックを受けていないものなので、ご自身でしっかりと確認するように してください。
補足は以上です。